寝ながら学んで欲しいiDeCoの損しない入り方【はじめにと第1項】

いま話題で大人気!
iDeCo(個人型確定拠出年金)に

興味がある方へ!

【はじめに】
iDeCoって何?」という人は対象にしていません(変な名前ですけど)。
ネットで検索して最初のページに出てくるようなiDeCoの制度や仕組みの説明は省略します。
聞いたこともない人は、そちらに触れてから是非読んでください。
詳しい知識なしで読んでもおもしろい「抽象的な」指南書になればと思いますが、
かわりに読者を以下の方に絞らせて頂きます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)という言葉を日常において見聞きする方。
・知的好奇心、興味、必要性があって理解したい、と思う方。

・想定読者は20代〜40代前半。
個別具体的なアドバイスも他の機会に譲ります。正確さも保証しません(笑)
だから金融庁にチクる、金融機関への苦情につかうのもやめて下さい。
「長文は読めない、読みたくない」
「難しい話抜きで、どうすればよいかだけを教えて欲しい」という方を含めた、
不特定多数に文章を書くのはとても難しい(個人の能力の問題)。
また、誰も怒らせない文章を書くのは現在の社会情勢ではほぼ不可能です。
(格差とネットがもたらす社会構造の問題)。
私は「中学生にも分かるように説明しろ」と叩き込まれました。
実際、それは大切な姿勢だと思っています。
しかし、その発想で作られてる身近なコンテンツの代表例はTV番組です。
薄い内容を何度も言い換えて伝えているTV番組を情報収集の手段として、
あなたはどれだけ信用しているでしょうか?
あまりに物事や社会を単純化し過ぎていて、ミスリードも多いと思います。
調べてみて私自身が改めて気づかされましたが、iDeCoを考えるにあたっては
社会全体の仕組みを広い視野で眺める視点が必要です。
我が国の教育現場では金融リテラシーはおろか、お金の話もなされません。
率直に言って、我々の知識と価値観が制度に追いついていないと感じます。
分かりやすく響きやすい話は、相手の職業性格年齢その他をふまえた話し手が
意図的に自己利益につながる結論に誘導している場合が多い。
極力、客観的で有益な情報提供になるように書きました。iDeCoは国からのキラーパスです。
受け手にもある程度の「意欲関心態度」が必要であり、大切なお金の話である以上、
ある程度の層に対象を絞っている点をご理解の上お付き合い下さい。

【第1項 iDeCo加入による一番のメリットはおそらく節税効果】
さて。iDeCoに興味があるあなた! なぜ気になるのでしょう?
その「一言」が投資においては1番大事です!目的を明確にしましょう。

Aお金を増やしたい!
B老後の年金が心配!
Cみんなやってるから!人気だから!
D税金を安くしたい!

多そうな理由から挙げてみました。
その他の理由を含めて個別に話を聞かないと断定はできませんが、一般論では
真っ先にDを挙げた方だけが、iDeCoに即加入しても良さそうです。
iDeCo加入の最も大きな利点は、多くの人にとって「節税」です。
ですからDを目的として加入した方は損をしたと「感じる」可能性が低い。
A〜Cの目的で加入すると、損する可能性が高い事を最初に申し上げておきます。
(次回以降に詳しく説明します。それでもiDeCoは検討して下さい。)

「節税」と呼ばれるものは「控除」と「経費」を利用することです。
いわゆる会社員には「経費」として認められるものが殆どありませんので、
(厳密には給与所得控除として一律、自動的に認められています)
払う税金を減らす為には「控除」をいかに増やすかを考えるしかありません。
「経費」「控除」は税制上は収入としてなかったことになり税金がかかりません。
さて、驚くことにiDeCoに払った金額は全額が所得控除されるのです。
税金を払った後に残ったお金を投資に回すのではなく、
投資に回して残ったお金に税金を払うイメージです。
効率も良いのですが、そもそも税金が安くなる。
誰にでも認められる控除のメリットは、認められる経費がない方にほど大きい。
iDeCoによる「節税」メリットの最大の享受者は、会社員と言えるでしょう。
ここでの税金とは所得税と住民税です。給与に課税されていて、
確定申告をしない方々にとっては、会社等から勝手に天引きされているものですね。
所得税住民税は、累進課税ですので給与が高ければ高いほど税率も上がります。
必然的に高収入の方ほど、「節税」メリットは大きい。全額が所得控除になるのですから、
iDeCoに回すお金がある人ほどお得でもあります。
最初にこれを知った時に皆様はどう思ったでしょうか?
ふるさと納税やNISAより全然良い!」と思った方は、
投資に詳しい方が多いでしょう。iDeCoの投資先に注意して下さい。【第2項】
「投資にお金をまわす余裕なんてない!自分には関係ない!」と思った方は、
iDeCoという制度がなぜできたのかをよく考えてみて下さい。【第3項】
「自分は節税と無関係!」と思った方は所得税住民税が非常に高いことをまず、
認識して下さい。そして会社員である自分が一番真っ当に税金を取られていることに誇りを持ち、
税金の行方と政策に関心を持って下さい。【第4項】

その前にこの項で最後に一つ、皆様に共通の確認をさせて下さい。
勿論、節税されると困るのは政府ですからiDeCoの掛け金には上限があります。
簡単にまとめます。
・会社に退職金制度(確定給付企業年金)がある場合 月に12000円まで
・会社が「企業型確定拠出年金」を退職金制度にしている場合 20000円まで
・退職金制度が一切ない会社に勤めている場合 23000円まで
大手や一部上場企業だから確定給付企業年金という「いわゆるふつうの」退職金がある、
と漠然と思っている方は至急確認してみて下さい。実は
「企業型確定拠出年金」に会社のお金で加入しているに過ぎない方も多いです。
こちらの仕組みはiDeCoと同様で運用先の選択と運用成果は自己責任です。
至急の運用先の確認見直しをオススメします。(【第2項】を参照して下さい)
気づくのが遅れれれば遅れるほど、取り返しのつかない致命的な傷を負います。
数百万単位もしくは1000万単位で貰える退職金が変わるでしょう。
ここまでの制度についていた年金という名称=退職金積立というイメージです。
自分の月々の給与の見た目には退職金の積立の違いが反映している点をまず、
意識することが重要だと分かると思います。
蛇足ですが、老後の月々の生活費になる年金の積立は「厚生年金」です。
契約社員でも現在は原則加入です。こちらも収入に連動して積立額が変わります。
労使折半なので収入が高いほど会社が負担してくれている額も上がります。
とはいえ、年金をまともに貰えると信じる人は誰1人いないでしょう。
iDeCo加入に際しては、やはり老後設計の見通しを立てることが先決です。
高収入で23000円をiDeCoで積立できる会社員は節税メリットが最大ですが、
そもそも退職金積立の必要性も最大の可能性が高い、というだけの話でした。

 

※補足
———「節税」についてーーー
「節税」は多くの場合、実は払う税金の先延ばし(税の繰り延べ)でしかありません。
せいぜい良くても「より税率の低い他の税へのスライド」です。
例えば「相続税対策」。最終的には相続税と贈与税と所得税の中で最も税率の低い方法を選択する作業となります(それ以前にやるべきことが沢山ありますが)。
そもそも払うべき税金を払わないのは「脱税」という犯罪行為です。
節税を税金を減らす行為と考えると、節税は本質的に脱税と同じです。
うまく節約したいのならば、「税制」を詳しく知らなければなりません。
ところで税金に詳しいプロといえば、税理士です。彼らは脱税は勿論のこと、好んでは
節税も勧めません。彼らの仕事は『適切に』税金を払わせることです。そして、自分の税金に対する知識をお金を貰って提供します。税務署を敵に回すと税理士としての仕事ができなくなるし、全部教えてしまうと仕事がなくなります。どちらかというと、『国側』の人間です。彼らが節税を勧めるのは自身の身の危険につながります。
「節税」を勧める言葉は、自己利益追求や、何かの営業目的で口にされます。
「経費」や「控除」が認められるのは、あなたが何かにお金を払う時です。
払う税金を減らす為に出費をすると、あなた以外の誰かの利益に化ける可能性が高い。
節税の道徳的議論以前に、あまり「節税スキーム」は信用しないのが得策です。
iDeCo等の退職金の積立時は非課税でもお金を受け取る際には税金がかかります。
その時も退職金控除や年金控除が認められています。とはいえ、
控除の廃止や税率改正は国会を通れば、簡単になされ得ることです。
「節税」を追い求めるよりも、自分が払う税金の仕組みと使い道と行方をしっかり把握することが王道です。納税した責任と権利を引き受ける。その為には政治にも無関心ではいられません。ところがそんな当たり前の姿勢を取る人々は非常に少数派です。
政治への関心や議論は会社員の日常では煙たがられていて、敬遠されています。
なぜでしょうか?
———「経費」について———
経費は利益に対して認められます。利益を得る為に存在するのが「経費」です。
控除は考慮されるべき事情があるから認められます。控除を認められる側(我々)の事情と同様、認める側(国)の事情もあります。民主主義なので、相互の事情に我々が、納得して自分達の利益として「制度」を受け入れている筈です。一方、民主主義以上に資本主義が我々の生活に与える影響は大きいでしょう。にもかかわらず、多数派の会社員が資本主義の基本である「利益と経費」に対してかなり無頓着な状況を私は個人的に「会社社会主義」と名づけました。公務員をはじめとした利益追求団体以外の職員は別として、会社側から見れば会社員の給与も「経費」です。自分が会社が負担する給与や福利厚生という「経費」に見合うだけの利益を仕事であげているか?と意識したことがある人は果たしてどれほど会社員の中にいるでしょうか?理解はしていても、意識的な方は意外と少ないと思います。「会社の利益なんて把握も考慮もできない」と思うかもしれません。第1項で確認したことを復習します。
自分自身の給与という利益に対する経費の計算(一律の「給与控除」)
自分自身の利益に対する納税(給与天引き)
自分自身の将来の利益である退職金の積立(給付型/拠出型年金)
これら全てを会社に丸投げしているのが確定申告をしない大多数の「給与所得者」です。
会社員は個人単位でも「経費と利益」の感覚に鈍感です。一方で、
自営業者や会社経営者、第一次産業従事者などは常に肌身感覚でこれらに接しています。第1項では彼らを一切想定していません。節税対策で彼らがiDecoを検討することはまずないですし、この程度は当然熟知していて私が申し上げるまでもないからです。
そして、彼らが最も(理由はどうであれ)投票や政治活動をしていることは、
この社会の常識です。利益を生み出すのがいかに難しいかを日々痛感し、経費を抑えることに日々尽力している彼らが税金の金額や使われ方に対してとても敏感なのは当然でしょう。必然的に、彼らは政治にも興味を持たざるを得ません。資本主義下の民主政治とは税金の取り方と使い方の話し合いです。税金をあくまでも利益追求の為の「経費」として捉えると、それが高いかは非常に興味深い検証だとは思いますが、ここでは触れません。とにかく、人生の大半を勤務先に丸投げしている会社員は税金の使われ方と節税意識において非常に劣り、その結果最も税金を真っ当に取られています。無頓着で無責任で税金の使い方も官僚機構にお任せで、官僚を制御する役目である政治家に投票もしないのだから、当然です。『思考停止』の代償として、生活全般に関わる殆どや、福利厚生等の享受が会社を通して行われるシステムが、まさに「会社社会主義」。資本主義とも民主主義とも言えるか微妙なところです。必然的に、この国では企業の発言権が強いのです。しかしそのシステムがもはや機能不全に陥っているからこそ、iDeCoという制度が作られました。iDeCoを検討する層の方々はこの思考停止から脱して欲しいと願います。そもそもお金を増やすことが善である資本主義と税金は実は非常に相性が悪い。また、選択の余地なく脱せざるを得ない状況を【第3項】でお話し致します。
———投資用マンションについて———
「抽象的な話やお説教はうんざり!具体的で役に立つ、利益になる話が聞きたいんだ!」
と言われてしまいそうなので投資用マンションの話をします。投資用マンションの顧客として最も想定されているのは、高給取りの会社員です。
プラスで認められる「経費」が少なく、そして実は「経費」に詳しくない会社員に、借金や損をさせて強制的に「経費」とローン「控除」を作り出して「節税」を勧めるのが投資用マンション営業の大まかな仕組みです。
購入価格よりも物件が値上がりすることや、それ以上の家賃収入を狙うわけですが、
双方ともに滅多にはあり得ません。運良く非常に良い物件を手に入れたとしても、
まず借金につく金利は「時間」を買う為の「経費」という側面があります。
また利益に関係なく不動産は持っているだけで、固定資産税等がかかります。
更に建物は経年劣化で資産価値が下がります。どんなに価値があるように思えても、買う人や貸りる人がいないと不動産はお金を生み出しません。住む為ではなく投資として買うには「時間」が絡む要素が大きく、利益追求には「経費」が高過ぎます。「経費」に弱い会社員がプロにも難しい不動産で上手に利益を得られるでしょうか?
———お金と時間と価値について———
「知って得をする知識は殆どないが、知らなくて損をする知識は多い」とは友人の名言。本当にその通りだと思います。誰かに損をさせて自分が得をしようとする人が多いのも事実です。時間をかけて知識を得るという経費抜きで、労働を時給に交換することなく「不労所得」を得るのはかなり困難です。身もふたもないのは大金という「資本」を持っていると話が逆転することです。「資本」主義ですから。資本があるものが勝ちます。
「お金には換えられない、仕事の価値がある」
「効率的にどれだけお金を稼ぐかが仕事の価値だ」正反対の様ですが、同じ事です。
お金は身近でありながら、極度に抽象的な存在です。お金を具体的なもの、お金が問題、と認識すると何かしらの間違いが生じます。
お金そのものに価値があるのではなく、あらゆるものに変換しやすいから価値がある。
だからこそ、みんなに平等に流れている筈の「時間」軸をもゆがめることができます。
お金があるだけで、知識や愛が寄ってきやすいのも確かでしょう。
「お金を稼いで得たい価値は何なのか?」「お金に換える必要のない価値は何なのか?」
それを見極めることこそが重要です。目先の金額だけを追うのは無意味です。
それが生きるという事なのに、個々人が考えることなく所属する会社に委ねてしまう。
そうだとしたら「会社社会主義」ではないですか?とはいえ何より先立つものも大事。
「資本がない人はどうすればお金を増やせるの?」第2項でその話を致します。